量より質
資料が多いほど、良い翻訳になると思われるかもしれませんが、すべてのものに「適切な量」があります。
たとえば、会社内の資料全てを渡し「これらに準拠して翻訳してください」と言っても、それが役立つことはあまりありません。資料を 50 ファイル提供した場合、翻訳者がそれらを熟読することはありません。気になった時の検索対象になるだけです。
大量の資料を提供しておいて「この資料の 51 ページと違うじゃないか」なんて言うことはできませんよ。
ソースファイルを含める
ソースファイルを含める必要があります。ただし、ソースファイルとは PDF など、最終ユーザーの目に映る原版そのもののことです。処理用中間ファイル (マークアップ言語) をソースファイルとして提供してくるエージェントもありますが、翻訳者がそのマークアップ言語に通じていない限り、たいして役に立ちません。通常、原版でない "ソースファイル" は、チラッと見た後で無視されます。
品質を気にするなら品質の向上に寄与する資料を含める
- 簡単に UI を確認できる資料無しでは、正しい UI 翻訳は期待できません。
- ソースファイル無しでは、文章構成を判断するのは困難です。
- 図面無しでは、図面の翻訳は無理です。
あとがきん肉
不適切な質と量の資料を渡したときに何が起きるか
翻訳の揺れを放置し、スタイルガイドと矛盾した資料を大量に渡すと、多くの翻訳者から、長大なクエリシートを受け取ることになります。
クエリシートが来ないからといって安心してはいけません。質の低い一貫性のない資料を渡し、かつ翻訳者からクエリシートが来ないということは、翻訳者が「このレベルの揺れやスタイルガイド違反は気にしなくていい案件なんだ」と判断し、「修正するんだったらそっちでやってね」と丸投げしているということです。
翻訳者のほとんどは、できる限り多くの資料を参照して、できる限り統一するように努力しますが、ものには限度があり・・・そして・・・「あぁ、こういうレベルの案件なのね」ってなっちゃうと思うんですよ。