2016年12月3日土曜日

数値と単位の間のスペースに関する原則

スタイル指定のない案件で、このスペースの処理が翻訳者ごとにバラついているのが気になっていました。今回は、このスペースの原則について書きます。

業界に長くいる方であれば、このスペースに関して、さまざまなスタイル指定を目にしたことがあるでしょう。たとえば、次のような指定です。

  • 数値と単位の間はすべてスペースなし
  • 数値と単位の間は原則としてスペースあり、ただし % と °の前にはスペースなし
  • etc.

でも、「単位は世界共通で使用されているのに、各社ごとにスタイルが揺れていておかしいな」と思ったことはありませんか。実際には国際機関が定めたルールがちゃんと存在します。JIS は既に、完全に国際単位系 (SI) に準拠していますから、原則として、国際単位系で定められたルールに従う必要があります。

国際単位系 (SI) の基盤を管理統括している国際度量衡局 (BIPM: Bureau international des poids et mesures) が、単位に関するさまざまなルールを定めた『SI Brochure』を発行しています。スペースに関しては、主に、以下の 2 つのセクションに記載されています。

Formatting the value of a quantity
Stating values of dimensionless quantities, or quantities of dimension one

簡単にまとめると・・・

  • 数値と単位の間には半角スペースを入れる。
  • °C (摂氏) と % (パーセント) の前にも同様に半角スペースを入れる。
  • 例外は、平面角の度 (°)、分 (')、秒 (") で、これらと数値の間にはスペースを入れない。

その他にも、細かなルールが記載されていますので、技術翻訳にかかわる方は、読んでおいたほうが良い文書だと思います (特に、表記に関するルールを定めている 5 章)。

当該 PDF のダウンロードリンクを示しておきます。

BIPM の SI 文書原典フル
BIPM の SI 文書原典コンサイス版
日本語訳フル (訳・監修 産総研 計量標準総合センター)

日本語版は最新の更新が含まれていなかったりするので、可能な限り BIPM が掲載している文書を参照することをお勧めします。

クライアントから明確な指示がある場合や、エージェントの基本スタイルガイドに異なるルールが規定されている場合は、もちろん、それに従ってください。指示がない場合や、既存訳の統一を依頼された場合は、BIPM のルールに従うことをお勧めします。過去訳がすべてスペースなしなど、判断が難しい状況下では、きちんと相談して解決してください。

次回は、同文書の「キロ」に関する記述を取り上げたいと思います。



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