2016年3月20日日曜日

ファイル数の多い Trados Studio プロジェクトの処理

わざわざこんなこと書かなくても・・・と思ったんですが、使っている人が少なくて書くことにしました。私自身も他の翻訳者の操作に驚かされることがあるので、まぁいいかな。知ってたら無視してください。

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Trados Studio で数百ファイルのプロジェクトをレビューしていると、「あれっ」と思うことがあります。ステータスをよく見ると、どうやら100ワード以下のファイルをひとつひとつ開いて作業しているようです。これはつらい。


[ファイル] ペインに表示されているファイルはまとめて開けます。

1. [ファイル] ペインで、まとめて開きたいファイルをすべて選択
2. 右クリックして、担当作業 ([翻訳用に開く] または [レビュー用に開く]) を選択


昔の Trados Glue のような動作が内蔵されているので、すべてのファイルを単一ファイルとして開けます。ファイル間の移動が不要なので、検索とか、置換とか、自動反映とか、いろいろ楽ちんです。

実は昔は・・・ Trados Glue は怖くて使えなかったんですよ。「戻らなかったらどうしよう」って感じでした。

ではでは

SDL Trados Studio 2015 SR2 の日本語関連変更点

どうもです。

さて、SDL Trados Studio 2015 SR2 がリリースされました。何か大きな変更点がないか、リリースノートを眺めていたところ、次のような記述がありました。ターゲットが日本語の場合のクリーンアップ処理が変更されたようです。

Enhancements to processing white spaces when using Japanese as a target language. As a general rule and as before, a space at the end of the segment is removed. However, a space is added or kept after the following characters: single-byte colon, semi-colon, question mark or exclamation mark. Studio makes sure that the space between the segments is kept after these characters.

つまり、文末に半角のコロン、セミコロン、疑問符、感嘆符が存在する場合に、末尾のスペースの扱いが変更されます。ピリオドは除外されています。

Tradosを長く使用している方は既にご存知のとおり、1 行の中にコロンが含まれている次のようなセグメントでは、コロンの末尾にスペースを入れる必要がありました。

セグメント分割前の原文
Subject: How to Translate

Trados でセグメント分割すると次のようになります。

セグメント 1 原文
Subject:
セグメント 2 原文
How to Translate

この場合の正しい翻訳方法は次のとおりでした。わかりやすくするために、末尾のスペースはアンダーバーに変更してあります。

セグメント 1 訳文
題名:_
セグメント 2 訳文
翻訳方法

翻訳時に正しく処理していると、次のようになります。

題名: 翻訳方法

スペースを入れないと、原文のセグメント間のスペース消去の原則により、クリーンアップ後に、次のような状態になります。

題名:翻訳方法


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では、今回の仕様変更後の動作を確認するために、末尾のスペースを 0 ~ 5 個まで変化させて、以前のクリーンアップとの違いを確認してみましょう。
また、今回は対象外となったピリオドが含まれる原文 (英語のまま維持する文) もテストします。

原文:
© 2016 78-banana. All rights reserved.

セグメント分割後:
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では、先ほどの文も含めて、末尾スペースを 0 から 5 個まで変えてクリーンアップしてみましょう。

Trados 2007 + Word

題名:翻訳方法
題名: 翻訳方法
題名:  翻訳方法
題名:   翻訳方法
題名:    翻訳方法
題名:     翻訳方法
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このように作業時のスペースがすべて正しく反映されます。今まではこれが普通でした。


SDL Trados Studio 2015 SR2

題名: 翻訳方法
題名: 翻訳方法
題名: 翻訳方法
題名:  翻訳方法
題名:   翻訳方法
題名:    翻訳方法
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コロンの場合は、0 ~ 2 個までが適切な結果になります。
それ以降は、スペース個数マイナス 1 のスペースが残ります。

ピリオドの場合は、スペース 2 個の場合が適切な結果になり、それ以外は不適切な結果になります。基本的に、スペース個数マイナス 1 のスペースが残ります。スペースを 2 個入れなくてはならないのはトリッキーすぎますね。

【重要】翻訳者が行うこと:
自分でクリーンアップまで行う方でない限り、作業を変更する必要はありません。クリーンアップするバージョンが問題なので、エージェントさんからの指示がない限り、翻訳者は以前と同様の処理をします。

私の考え:
英文をそのまま残す場合に、スペースを 2 つ挿入するというのは翻訳者に要求できることではないと思います。スペースマイナス 1 という規則はトリッキーすぎて、少し「うーん」という感じです。この辺りは、エージェントさんが内部で処理すべきことかなぁ。個人的には、そのまま反映される昔の動作のほうが好きです。

いろいろと書きましたが、何社かのエージェントさんは昔から独自に対処しているので、何も気にせず作業できまするするするりん。


2016年3月19日土曜日

「ディスプレイドライバが応答を停止しましたが、正常に回復しました」エラー

まだ対象人数が少ないので大きな問題にはなっていませんが、次の環境で表題のエラーが出て、作業に支障をきたすことがあります。

環境:
Windows 10
Intel Skylake プロセッサー内蔵グラフィックス
SDL Trados Studio 2015

症状:
エディタでの作業中にカーソルが数秒停止して画面がブラックアウトし、その後回復してから「ディスプレイドライバが応答を停止しましたが、正常に回復しました」メッセージが表示されます。
短時間に何度も発生すると、BSOD になります。

原因:
Intel グラフィックス ドライバまたは SDL Trados 2015 にバグがあると思われます。両方に問題があり、症状が顕在化している可能性もあります。

回避方法:
現時点での最新 Intel グラフィックス ドライバでは解決できていません。
ディスプレイ ドライバを [Microsoft 基本ディスプレイ アダプター] に変更すれば回避できます。純正ドライバよりも性能は下がりますが、翻訳作業にはほとんど影響しません。


最初は私の環境だけで発生しているのかと思っていましたが、海外でも同じ症状の方が複数名いたので、対処方法を記載しておこうと思いました。

何かの勘違いだったらごめんなさいです。


追記:
現時点 (2016 年 12 月) では、これらの障害は解決されています。原因がドライバーだったのか、Trados だったのかは不明です。