2012年1月11日水曜日

理想の案件 - スタイルガイド編

まぁ、お気に召さない案件の特徴をひとつひとつ挙げていくこともできますが、それはちょっと大人じゃないなぁと思って、理想の案件について書くことで同じ効果をあげようと思いました。


理想の案件のスタイルガイドとは:


簡潔 (できれば30ページ以内) にまとめられている
100 ページ超のスタイルガイドとかも珍しくありませんが、スタイルガイドの確認は翻訳者が「無料」で行なっていることに配慮してください。複雑怪奇で冗長なスタイルガイドは、ワークフロー全体でマイナスになると思います。


最大で 2 ファイル
会社としてのベース スタイルガイドとプロジェクト固有のスタイルガイドの2つだけで十分です。スタイルが記載されているファイルが 3 つ以上ある場合は、何かが間違っています。

よくあるのは、これら 2 つのスタイルガイドの更新を怠り、次々に例外が生まれ、そのたびに「例外記述ファイル」が増えていくことです。

もっとやってはいけないことは、スタイルに関する過去の QA ファイル (数百行の Excel ファイル) をスタイルガイドの補助として提供することです。読むのも大変ですし、新たにさまざまな矛盾が生まれます。そういうことはせずに、スタイルガイドを更新してください。


用語集を含めない
用語集は用語集です。スタイルガイド内のあちらこちらに用語の対訳表を散りばめているものがありますが、守ってほしい用語があれば、MultiTerm やその他の互換形式で提供してください。

スタイルはスタイルです。常体か敬体か、句読点に何を使うのか、社名の記述、スペーシング、単位の処理、半角か全角かなど、大枠を決めるものだと (個人的には) 思います。


編集者向けの記述を入れない
翻訳者は翻訳が仕事です。これを言ってはおしまいのような気もしますが、編集は翻訳者の仕事ではありません。多くの翻訳者が関わったプロジェクトで、表現の統一などを行うのは編集者です。

ありとあらゆる言い回しを固定した長大なスタイルガイドを発行することで、編集を楽にする (または、やってはいけないことですが編集を省く) ことができるように思えるかもしれませんが、言い回しを無理に合わせた「スタイルガイドに従っているから問題ないでしょ」翻訳が生まれます。

あくまで「翻訳」案件の場合です。2名以上が関わる「編集込み」案件を受注しているなら話は別です。


「スタイルは現状の Web ドキュメントを参照してください」とか書かない
ほとんどの場合、スタイルは統一されていません。1 ページのスタイルガイドで、常体か敬体か、半角か全角か、およびスペーシングを指定したほうがましだと思います。


一般に間違いとされている送り仮名や用法を指定しない
日本で発行するドキュメントなら、一般に正しいとされているものを指定します。


スタイルガイド間に矛盾がない
「内容に矛盾がある場合は A、B、C の順に優先してください」という記述をよく見ますが、本来あってはいけないものです。

ベース スタイルガイド内に、プロジェクト スタイルガイドと頻繁に矛盾を起こす項目があるなら、ベース スタイルガイドに「プロジェクト スタイルガイドに従う」という記述が必要だと思います。


超重要なあとがき
あくまで、私が考える理想の「翻訳」案件です。他にもありますが、眠いのでご容赦を。

色々書きましたが、長大なスタイルガイドに文句を言わずに処理するのもひとつの戦略になります。特定のスタイルガイドに慣れることで、次から楽に処理できるようになります。通常、大きなスタイルガイドを持つ顧客は、大量のドキュメントを翻訳する顧客であることに留意してください。

文書に対して真剣なゆえに、スタイルガイドが肥大化しているとも言えます。

コーディさんも、別に翻訳者を虐めたいわけではないので、スタイルガイドの混乱が甚だしい場合は、きちんとコミュニケーションをとって解決するべきです。

でも、翻訳依頼が年に数千文字の会社が、100 ページの翻訳仕様書を送ってくると殺意が湧きますよw

次は、「理想の案件 - 翻訳メモリ編」を書きたいと思います。



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